あれは、なんと言うタイトルの本なのか忘れてしまったのだけれど、ビジネス書ばかり読んでいると、表現力が弱くなる。だから、文学も読みなさいということが書かれていました。
それ依頼、ビジネス書や技術書ばかりでなく、文学も意識して読むようにしています。意識して読むというと聞こえは良いのだけれど、要するに、本が好きで文学も読みたかったのだけれど、ビジネス書優先にしていました。そのビジネス書で、文学も読んだ方がいいと書かれていたので、喜んで文学も読むようになったということです。
父の詫び状は、そうして読んだ中の一冊。テレビドラマ脚本家であり、直木賞作家であった向田邦子さんのエッセイ集。30代以上の人には、「時間ですよ」や「寺内貫太郎一家」の脚本家というと、ピンとくる人が多いのではないでしょうか。
テレビドラマ脚本家の経験からか、エッセイの中で描かれている場面はクルクルと変わっていきます。突然変わった場面に唖然とし、取り残されると思いきや、ほんの1行にも満たない文章で、変化した場面の景色や匂いまで感じられます。
1つのエッセイを通して著者が言いたかったことが、クルクル展開してきた場面の1つ1つに引き立てられるようにして、すっと浮き上がってくる様が、非常に心地良いです。
何度も、読み返したいエッセイ集です。
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