ザ・ワンという映画をご存知でしょうか。世界には125のパラレルワールドが存在し、それぞれの世界で生活している自分が死ぬことで、他の世界の自分にパワーが分け与えられるという映画です。
この映画を観た数年後、祖父が亡くなりました。
葬儀を終え帰宅すると、深い悲しみの中に温かいものを感じました。それは、昨日までの自分が持っていなかったパワーが、ゆっくりと湧き上がるような感覚でした。祖父が遺してくれたいろいろな教えが、心の底で存在感を増したためだろうと思います。もし、ザ・ワンの世界が現実にあり、他の世界の自分が死んだら、同じような温かさを感じるのだろうと感じました。
2011年10月5日。スティーブ・ジョブズが亡くなりました。
スティーブ・ジョブズが創ったMacがなければ、私の人生は変わっていたことでしょう。Macとの出会いは、1995年のことでした。その後、Palm(Handspring Visor Deluxe)と出会い、Macで使用できるPalm用のスクリプトを公開したところ、いくつかのメディアで取り上げていただきました。
ほんの数行のスクリプトを公開しただけで、メディアに取り上げていただいた経験は、価値観の変化を私に与えてくれました。創ることにかけた労力と、創ったものの価値は比例すると思っていた私に、創ることにかけた労力は、創ったものの価値に比例しないことを、身をもって体験させてくれました。その体験をさせてくれたのが、Macです。
スティーブ・ジョブズが創った製品は、世界中あらゆるところで見ることができます。世界中あらゆるところで見ることができるその製品は、スティーブ・ジョブズの死後、さらに輝きを増すことでしょう。その輝きとともに、スティーブ・ジョブズが遺した偉大なパワーが、スティーブ・ジョブズを愛してやまない人達のもとに分け与えられることと思います。
深い悲しみのあとにのこる温かいものを、大切にしていきたいです。
ザ・ワン→Amazon.co.jp