
仕事をしていると、「特別な方法」で成果をあげることを期待されることはありませんか?
たとえば営業職なら、「あなたの営業のスキルを、新人でも簡単に習得できないか?」「新人でも大きな成果をあげられるようにできないか?」といったことや、技術職なら「あなたの技術力を、新人でも簡単に習得できないか?」「新人でもバリバリ開発できるようにならないか?」といった、奇策のようなことを求められることはありませんか?
もちろん奇策を考えるのは悪いことではありません。運良く見つかれば、役立つことでしょう。
しかし、奇策頼りに仕事を進めたらどうなるでしょう?
きっと、組織の力が低下し、事業が立ち行かなくなります。
個人のスキルアップについても同じです。奇策を頼りに飛躍的なスキルアップをすることばかり考えていると、自分自身の力が低下していきます。
では、どうすれば良いのかと考えた時に、日経ビジネス アソシエ 2014年12月号に掲載されていた、佐藤可士和さんのインタビュー記事が、ひとつの答えになります。
僕は仕事を進めるうえで、”奇策”のようなことは必要ないと思っています。思考の過程も同じ。誰でもやっていることを、当たり前のようにやる。ただし、どんなに小さな作業も面倒くさがって飛ばしたり、手を抜いたりしない。とにかく徹底的に、緻密にやる。(佐藤可士和)
さて、話はかわります。
だいぶ前の話になりますが、会社の人たちと、ある場所に遊びに行きました。
遊びに行った先はKART場です。KART場は、レース用の小さな四輪車を走らせて、タイムを計ったりレースをしたりする場所です。
その日はじめてKART場に行った私は、コースの中を軽やかに走行している女性を目にしました。
特別すごそうな走りでもなかったため、その女性のラップタイムを参考に、『今日は、あのくらいのタイムを出せればいいな』と思いながら、KARTをレンタルする手続きを済ませてコースに入りました。
走り始めてみると、頑張って走っているのにまったく良いタイムが出ません。走り終えてみると手や足はフラフラになり、KART場に着いた時に目にした女性のタイムにも遠く及びませんでした。
そのとき感じた悔しさと楽しさから、KARTにはまっていきました。体力作りと練習を続けた結果、あるKART場でコースレコード上位に食い込む程度には走れるようになりました。
では、はじめて走った時と、コースレコード上位に食い込むようになったときの走りの違いは何だと思いますか?
走るのが遅い人にはわからないような”奇策"があったと思いますか?
・・・奇策はまったくありませんでした。
レンタル用のKARTには、ハンドルとアクセルとブレーキしか操作するものはありません。
それらの操作を、徹底的に緻密にやることで、初心者とかけ離れたタイムを出すことができます。
佐藤可士和さんのインタビュー記事に戻りますが、誰でもやっていることを徹底的に、緻密にやることが、良い成果を得るためには大切なことなのだと思います。
佐藤可士和さん関連の書籍
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