考える仕事をしていると、どう考えれば良いのか、わからなくなることがある。
仕事に必要な材料、情報、機材はすべてそろっているのに、それらをどう利用すれば良いのかわからなくなることがある。そうなると、しばらくの間、思考停止したような状態になる。
しかし、あるとき、フッと、仕事のやり方の糸口のようなものが芽を出し、するすると引っ張り上げ、そこに見えるものを言葉にして書き出して行くと、作業計画の仔細まで出来上がることがある。
「ついさっきまで、思考停止していたのに、どうして?」
そういう経験を何度もしているうちに、「そもそも、考えるって、どうすればいいんだろう?」と疑問を持つようになりました。
目次
- 招待状
- 1. 「考える」って何をすることだろう
- 2. 問いのかたち
- 3. 論理的に考えるだって?
- 4. ことばがなければ考えられない
- 5. 見えない枠
- 6. 自分の頭で考える?
- あとがき
考えることを、考える
「はじめて考えるときのように」は、そもそも、考えるって何だろう?というところから本文が始まります。
「考える」っていうことがまだわからない子どものことを想像してみよう。そしてその子が大人に「よく考えなさい」とか言われたとする。だけどその子にはそれがどういうことかわからない。それできみに質問する。
「考えるって、どうすること?」
きみならどう答える?
(はじめて考えるときのように:野矢茂樹 P.14)
私には、この質問への答えが見つかりませんでした。
考えるって、どうすることなのか答えられないのに、「この仕事の計画考えておいて」と、気軽に「考える」という言葉を使っています。
考えるって、どうすることか、わかりますか?
考えることが上手になるためには?
「論理的に考える」「論理的に処理する」この二つの言葉があるわけだから、論理と考えることはイコールではない。
だから、論理的な文章を書くのがどんなにうまくなっても、考えることが上手とは言わない。
それじゃ、どうしたら考えることが上手になるのかというのが、この本の2章以降のテーマ。
1章の最後で、著者自身も、上手に考える方法があれば知りたいくらいだと言っているけれど、「何かきみの考えるヒントになることが言えればいいな。(P.43)」と、上手に考えるためのヒントが、この本にまとめられています。
著者の野矢茂樹さんは、ウィトゲン・シュタイン研究の第一人者とも言われている教授です。爆笑問題のニッポンの教養という番組に出演されていたのをきっかけに、野矢茂樹教授のことを知りました。
野矢茂樹教授は、いわゆる哲学者ですが、哲学者は考えることが仕事。
本の中で「考えるヒントになることが言えればいいな。」と言っていますが、考えることの本質を、はっきりと書かれているように思います。
哲学者の考えることは意味がわからないとか、言葉が難しいというイメージがあるかもしれませんが、この本は、平易な言葉でわかりやすく書かれているので、哲学にふれたことがない人でも理解しやすい内容になっていると思います。
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